掌をいっぱいにひろげて光を受ける。やわらかな光をお裾分け。
ゆっくり伸びる新芽。待ち望んだ、太陽との再会。
寒い夜を超え、一斉に咲き揃った桜。美しさは一瞬なれど、待つ人々の想いは永久に続く。
ひっそりと、少しずつ。そして、着実に。
空と地がつながる瞬間。
朝陽を浴びて、透る紅。無数の掌を、力強く支える幹。
雨音だけが響き渡る。漆黒と紅の共演。
柔らかな風に乗って、新た地へ。